墓じまい・改葬Q&A
Q1.あるお寺の古くからの檀家ですが、墓じまい・改葬を申し入れたところ反対され、協力できないとのことでした。そのような権利がお寺側にあるのですか?
A.お寺は、正当な理由なしに改葬を拒否することはできません。墓じまい・改葬するかどうかを決定するのは、あくまでも墓地使用者です。協力できないとして必要な書類を出さない場合は、まずは役所に相談してみましょう。
Q2.離檀料を請求されましたが、払わなくてはいけないのでしょうか?
A.離壇料に法的根拠はありません。専門家に相談して、あいだに入ってもらったほうがよいかもしれません。しかし、いままで、長年お世話になったお礼としてお布施で(閉眼供養料含む)10万~15万円ぐらいはお渡しする慣例があるようです。
Q3.お墓が遠く、なかなか墓参できません。そこで自宅近くにお墓を購入し、移したいと思っておりますが、現在のお墓は寺院墓地で住職との話し合いがうまくいくか心配です。どのように話をしたらよいでしょうか?
A.墓じまい・改葬の話をするときは、直接、住職にお会いして誠意をもって説明するようにしましょう。
- 遠くてなかなか墓参ができないこと。
- 自宅近くに新たに墓をたて頻繁に供養したい...など
墓じまい・ 改葬の話は早めにし、いままでの感謝の意をつたえること。住職には、改葬手続きの際に書類に押印してもらったり記名してもらうため、事後承諾は避けてください。閉眼供養はキッチリとお寺にお願いし、供養の際、お布施(閉眼供養料)をお包みします。金額はお寺の格にもよりますが、目安は10~15万円くらいだと思われます。くれぐれもトラブルを避けるためにも、よく話し合うことが必要です。
Q4.先祖代々のお墓の移転を考えておりますが、親族が反対しております。親族の承諾は必要でしょうか?
A.改葬をするには、役所の改葬許可を得なければなりませんが、法律手続上、親族の承諾を得る必要はありません。あくまでも、墓地の使用権者が決定することです。あなたが使用権者である場合は、法律上問題ありません、しかし、親族に理解を求めた上で改葬するのが望ましいでしょう。また、墓地使用権者以外の者が改葬申請する場合は使用権者の委任状が必要となります。
Q5.墓じまいでお寺に墓地を返還した場合、永代使用料の一部返還はしてもらえるのでしょうか?
A.永代使用料の返還はほとんどの場合ありません。墓地使用規約にも以下のような項目が入っていることが多いと思われます。
「第○条 既納の入壇料、永代使用料、墓地管理料及び護寺会費、付届け等の維持費は、理由の如何を問わず返納はしないものとする。」
Q6.墓地使用者でない者が改葬許可申請することはできますか?
A.墓埋法施行規則第2条2項2号にありますが、「墓地使用者等以外の者にあつては、墓地使用者等の改葬についての承諾書又はこれに対抗することができる裁判の謄本」を申請書に添付すれば申請可能です。
Q7.土葬のお墓を墓じまい・改葬する場合、どのようにしたらいいのでしょうか?
A.土葬の場合、年月を経て遺骨が土に還っていることもあります。これは墓地の土質によります。粘土質で低温を保てるような場所では、きれいに遺骨が残っています。土葬の場合、土葬した遺体が、どれほど骨化していたとしても墓埋法上は「死体」として扱われます。つまり、これを移して埋めることは、再度、土葬することを意味します。昨今は、どこの条例、規則でも土葬は認めない方針をとっていますので、火葬場において火葬をしてもらわなければなりません。その際には役所から改葬許可証と同時に火葬許可証を発行してもらう必要があります。 これに対し、遺骨が土化して、改葬すべきモノが残っていないような場合は、墓埋法上、改葬許可証は必要とはされません。しかし、実際上は、土になっているかどうか事前に確認するのは困難ですから、改葬許可は得ておき、その墓地の土をおわん一杯分程度、遺骨の代わりとして改葬を行っているのが現実だと思います。
Q8.お寺の住職が、改葬に反対で、どうしても埋蔵証明に印鑑を押してくれないのですが、どうしたらよろしいでしょうか?
A.お寺が、正当な理由なしに改葬を拒否することはできないのは、Q1の通りですが、実際問題として、こじれてしまった場合、どう対処すべきでしょうか。改葬許可申請の際、埋蔵証明に押印を拒む事は違法です。裁判所に訴え、埋蔵証明の交付請求をすることも考えられますが、費用と時間がかかります。その他の方法として、墓埋法施行規則第2条2項1号に「埋蔵証明により難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面」...とありますが、墓地に確かに納骨されていることを証拠立てできる書面を埋蔵証明の代わりとする事ができるとされています。「証拠立てできる書面」とは、経緯説明するための「陳述書」と「墓地管理料の領収書他これに準ずる書面」等を言いますが、具体的には、役所と相談して提出書類を決める事になります。ただし、実際上この方法は、ケースとしてかなり少ないようです。
Q9.墓じまいと同時に新しい墓地を購入しようと思っていますが、墓地に税金はかかりますか?
A.墓地を購入するということは、宅地分譲のように土地そのものの所有権を取得することではなく、永代使用権(土地の使用権)を得るということです。したがって、固定資産の定義からはずれますので、固定資産税はかかりません。地方税法でも「墓地は非課税」と記されていますので明らかです。また、墓石についても建物ではありませんので、同様、固定資産税の対象ではありません。次に不動産取得税ですが、永代使用権にはかかりませんので、この意味でも、土地や家とは異なります。もっとも、 墓石や墓石工事代金には消費税がかかりますが、それでも、永代使用権取得自体には、消費税は発生しません。 また、相続税はと言うと...一般的にお墓も遺族が承継することになるわけですから相続税がかかりそうですが、そんなことはありません。相続税法では、非相続人が生前に取得した墓地、霊園、墓石仏檀、仏像、位牌などには、相続税の課税対象とはなりません。 その意味で税金対策として生前に現金(ローンは×)で墓地を購入する方がおります。
